すぎやまこういちさんと言えば「ドラクエ」。その全作品の音楽を担当していることはご存じの方が多いと思いますが、まず、そのプロフィールを掲げておきます。
すぎやまこういち(椙山浩一)
昭和6年4月、東京都生まれ。東京大卒業後、文化放送を経てフジテレビに入社。「ザ・ヒットパレード」「おとなの漫画」「新春かくし芸大会」などの番組を手がけた。40年にフジを退社し、作曲家としても活躍。「花の首飾り」などザ・タイガースのヒット曲、ゲームソフト「ドラゴンクエスト」シリーズの全音楽のほか、CMやアニメなどで数多くの音楽を担当している。「交響組曲 ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族」がキングレコードから発売中。
フジテレビ出身とは知りませんでした。テレビの黎明期に活躍した方で、現在のテレビ番組とは比較にならないほど、中身が濃く、高尚な番組を作っていました。
そう言えば、むかし、NHKに「ひょっこりひょうたん島」という夕方に放映される傑作番組がありましたが、井上ひさしさんが原作者のひとりで、声優もそうそうたるメンバーでした。
初期の頃は、映画、演劇の世界からもテレビ局に人材が集まったため、ドラマは本格的でした。
テレビ放送が始まり60年。技術はとてつもなく進歩したのですが、内容は時代とともに劣化したような感じがします。特にここ10年ほどの間の劣化は凄まじいと思います。
テレビ放送が斜陽産業であることは間違いないと思いますが、なくなることはないでしょう。テレビ局が淘汰され、生き残るところ、なくなるところが出るでしょうが、どこでその差がつくのか。
すぎやまこういちさんが次のようなことを言われています。
「電波の同時性、生放送。それがテレビの一番の武器であることは、昔も今も変わっていません」
確かにそうした面を感じます。「同時性」が活かされたニュースのような番組では、いまだテレビの役割は大です。
ちなみに、テレビはテレビジョンの略で、元々の意味は、「テレ(遠く)」の「ビジョン(映像)」を手に取るように見ることができる機械ということです。遠くで起こっていることを見るための道具であることが、テレビの第一義的存在価値ではないかと思います。これをどのように有用な形で活用するかがテレビ局の役割なのでしょう。活用に失敗すれば、滅びるしかないのでしょう。