ネット上の世論とマスメディアのいう世論が乖離している理由について釈然としないものを感じていたので、本屋でたまたまみかけたこの本のタイトルは、つい買ってしまう衝動を呼び起こしました。
まだ半分くらいしか読んでいませんが、ここ数年間に起きたネットがらみの事象・事件について、事実をあげつつ、詳細に分析されています。
マスメディアとネットの関わりについての分析が多く、ウィキリークスのアサンジについては好意的に捉えられています。その理由は、ネットのみではその情報の信頼性が疑わしいので、既存のマスメディアがその内容の検証の役割をになう必要があると、アサジンが提唱している点について共感しているようです。
基本的には正しい見解であると思いますが、マスメディア自体が腐敗している日本の現状では、難しい面もあるのではないかと思います。
また印象的であったのは、モーリーという人が「ニュースの信憑性を犠牲にすることで、情報の量や伝達速度を高めることができる」と述べていることを引用したところです。これを見て、「量子力学の
不確定性原理のようだ」と思いました。
情報の信憑性の評価において、情報の量や伝達速度を高めると、間違った情報の割合が多くなり、正しい情報を求めようとすると、情報の量や伝達速度が失われるということです。
不確定性原理については、Wikiなどを参照していただく必要がありますが、はしょって言うなら「粒子の位置を正確に知ろうとすると、運動量が不正確になり、運動量を正確に知ろうとすると、位置が不正確になる」といったハイゼンベルグが唱えた理論です。
確かに、速報性は重要ですが、あとで誤りであったと訂正されることがままあります。ネットの特性は速報性です。ですから、必然的に、ネットの情報には不正確さがあるということなのです。
かつてはマスメディアでは、公開する前に内容の検証が行なわれ、情報の正確さが保たれていました。しかし、最近の日本のマスメディアは、事実の検証ではなく、社是というフィルターにかけているので、信用がおけなくなっているのです。
この本は、超オススメです。
津田大介著『ウェブで政治を動かす!』
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