今月3日になくなった十二代市川團十郎さんの葬儀が青山で営まれました。市川團十郎が海老蔵を名乗っていた頃、東京・東銀座で私服姿を見かけたことがありました。ヒゲが濃く、熊みたいな男だな、というのが印象でした。
ところで、葬儀でパソコンの中から見つかったという、十二代市川團十郎さんの辞世の句が明らかにされました。
「色は空 空は色との 時なき世へ」
「般若心経(はんにゃしんぎょう)」ではないですか。
「色即是空、空即是色。」
〈色(しき)、これすなわち空(くう)、空、これすなわち色。〉
という有名な「般若心経」の一文の引用でしょう。この部分のみ一人歩きして、いろいろな解釈がありますが、この文の前後にある文言を見てみますと、
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、
照見五蘊皆空、度一切苦厄。舎利子。
色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。
受・想・行・識亦復如是。
「色不異空、空不異色」といわれたあとに、「色即是空、空即是色。」とあります。
漢和字典によると、「色」とは、「客観的世界のこと。物質的性質」。「空」とは、「意識を超えてすべてをゼロとみなす悟りの境地。一切のものは因縁によって生じるもので、不変に実体はないという仏教の根本原理の一つ」と説明されています。
そこで、以上の見識を元にして、團十郎の辞世の句をあえて意訳するなら、
「人生は過ぎてしまえば、思い出という実体のないものでしかないが、その思い出こそが私の人生そのものである」
となるのでしょう。そして最後の「時なき世へ」は、
「時の流れもなく、思い出を作ることさえできない世界に行くことになる」
ではないでしょうか。また、辞世(じせい)と時世(じせい)を重ね合わせているのではないかと想像します。
海老蔵さんは「空(そら)を見たら父を思い出してください」というようなことを言っていましたので、辞世の句の意味を理解していない恐れを感じます。
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